重度歯周炎(重度歯周病)の治療
重度歯周炎とは?
どのような状態なのか?
重度になると歯槽骨の喪失がさらに大きくなり、咀嚼困難になるほど歯の動揺が認められるようになり、日常生活に支障が出てきます。
歯周ポケットが6mm以上または歯槽骨吸収が51%以上の状態です。また、このような歯が全体の30%を超えると広汎型、超えなければ限局型と判断されます。
どのような症状があるのか?
重度歯周炎になると細菌性の原因だけでなく、噛み合わせの不調和も大きな原因になります。
軽度・中等度歯周炎の症状がさらに強くなります。歯のぐらつきが強くなり咀嚼困難になります。多くの方は重度歯周炎に至ってから自覚し来院する方が多いように思われます。これは歯周病が重症化しないと自覚症状が認められない”Silent Disease”とも言われる歯周炎の特徴です。
歯周病はほとんど痛みが認められません。体の免疫力が低くなると急性発作を起こし、歯肉が腫れ痛みが出る場合があります。また、脳卒中・心筋梗塞などの心疾患・肺炎・糖尿病・低体重児出産など多くの全身疾患のリスクを高めてしまいます。
写真で見る重度歯周病
重度歯周病の写真です。
重度歯周病における歯の保存と抜歯について
多くの歯は保存することができます。しかし、保存した歯を長期的に機能させることは大変難しいことです。
歯を保存できるか、保存するべきか、抜歯すべきかは治療にあたる歯科医師の知識、技術および経験、メンテナンス管理にあたる歯科衛生士の知識、技術および経験も重要です。
しかし最も重要な事は患者様ご自身が現状の状態を理解する事です。
そして保存するか抜歯するか、保存するにあたって治療の選択などどうしたいか決めて頂く事です。歯科ドックを通して担当医としっかり相談しましょう。
重度歯周炎の治療のキモ
歯周炎は患者様の協力が治癒とメインテナンスに大きな影響を及ぼす事。そして治療期間が長期に及ぶ事、重度であればあるほど再発リスクが高い事など歯周病に対する理解して頂く事が重要です。
重度歯周病の治療法
まずは軽度歯周炎・中等度歯周炎同様の治療を行い、必要に応じて噛み合わせの調整や隣同士の歯を連結固定し動揺を止めます。
歯周炎の治療で必ずチェックする事は歯の揺れ具合(動揺度)です。動揺度が認められなかった歯に動揺を認め始めた場合、何らかの力が歯に負担になっていると考えられます。歯槽骨の喪失があまりに大きく動揺度が小さくならない場合は、保存が困難な時もあります。
歯周基本治療での治癒にもよりますが、適応であれば歯周外科も視野に入れた治療計画を立案します。歯周外科は中等度および重度歯周炎に対し歯周外科処置を行い、骨の平坦化(再生や切除)を図り歯を保存できる可能性があります。
深い歯周ポケットに対し、目視下で確実に歯根面に付着した感染物を除去します。さらに条件が整えば骨欠損部位に組織再生因子を含む薬を塗布し、歯槽骨の再生を期待します。処置するには適応症かどうかカンファレンスを重ねた上で患者さんに提示します。
重度歯周炎でお困りの方へ
重度歯周炎でお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。当院は、日本歯周病学会歯周病認定医・専門医や指導医による歯周病治療の教育を受けている歯科衛生士が在籍しています。患者さんと二人三脚で歯周病の改善に向けて最善を尽くします。